大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)1335 判決

主 文

原判決を破棄す。

被告人を懲役一〇月に処する。

押収にかかる金三六〇〇円四五銭(東京高等検察庁昭和二三年押第三三

六六号)はこれを没収する。

理 由

弁護人山本雅彦の上告趣意第一点について。

食糧管理法は昭和二二年一二月三〇日法律二四七号にて改正せられ、これに伴ひ

同法に基く同法施行令及び同法施行規則も同日全面的改正を見た。しかし右昭和二

二年法律二四七号附則二条によれば、「この法律施行前にした行為に対する罰則の

適用……に関しては、改正前の規定はこの法律施行後もなおその効力を有する」と

規定しているから、同日以前の犯行に対しては右改正前の前記各法令の規定を適用

すべきである。してみれば、原判決の確定した判示第一の昭和二一年一一月頃から

同二二年一一月頃迄の間前後一〇回に亙り精米及び玄米を法定の除外事由がないの

に運搬したという連続犯の事実に対しては、それぞれ右改正直前の食糧管理法九条、

三一条、同法施行令一一条ノ五、同法施行規則二三条ノ七を適用すべきである。し

かるに右事実に対し右改正後の同法施行令一一条、同法施行規則一五条を適用した

原判決はその擬律に錯誤あるもので、この点に関する論旨は結局理由があり、原判

決はこの点において破棄を免れない。しかし原判決判示第二の昭和二三年一月一六

日より同年同月二四日迄の間に六回に精米、玄米等を輸送したという六個の事実に

対し右改正後の前記各法令の規定を適用した原判決は相当である。論旨摘録の同法

施行規則一五条は右犯行後たる昭和二三年四月一七日農林省令三四号により、同規

則第一五条の二は同年一〇月二七日同省令九九号によりそれぞれ新設されたもので、

本件に適用のないものである。従つてこの点についても原判決に擬律錯誤があると

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する論旨は理由がない。

同第二点について。

本件記録に存する押収調書(一五丁)によれば番号一、玄米一五、五瓩換価代金

二〇四円七七銭、二、精米七一、五五瓩換価代金九六一円六三銭と、捜索押収調書

(五五丁)によれば三、白米八六キロ右換価代金二四三四円五銭とあり、普通押捺

きれる地方検察庁の押収品受入番号の記入がないが、本件控訴記録の表紙には東京

高等検察庁昭和二三年押第三三六六号との記載がある。してみれば、この記載は本

件公訴を提起した静岡地方検察庁における押収品全部を右東京高等検察庁の受入番

号により保管転換をしたことを示すものと解せられる。それ故、原判決事実摘示の

部で昭和二三年押第三号換価金二四三四円五銭同押号の二換価金九六一円六三銭同

押号の一、換価金二〇四円七七銭とあるのは、いづれも右東京高等検察庁に保管転

換され同庁昭和二三年押第三三六六号として受入れられ、原判決がその主文、証拠

説明及び法令適用の部で「押収に係る金三六〇〇円四五銭(昭和二三年押第三三六

六号)」と表示したのは、右三個の換価金の合計を示したものであつて、同一物件

を指示するものといわなければならない。それ故原判決には所論の違法はなく論旨

は理由がない。

同第三点

しかし所論量刑不当の主張は本件のような旧刑訴事件においては刑訴応急措置法

一三条二項の規定により上告適法の理由とならない。

しかし上告趣旨第一点の論旨の一部理由があること前記のとおりであるから、旧

刑訴四四七条に則り原判決を破棄し、同四四八条に従い更に判決をするのであるが

原判決の確定した事実を法律に照らすと判示第一の所為は食糧管理法(昭和二二年

一二月三〇日法律二四七号による改正前のもの)九条、三一条、同法施行令(同日

政令三三〇号による改正前のもの)一一条ノ五、同法施行規則二三条ノ七、刑法(

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改正前のもの)五五条に、判示第二の一所為は夫々食糧管理法(右改正のもの)九

条、三一条、同法施行令(右改正後昭和二三年三月三〇日政令六八号による改正前

のもの)一一条同法施行規則(前記改正後昭和二三年四月一七日農林省令三四号に

よる改正前のもの)一五条に該当するので所定刑(罰金刑については刑法六条に従

い罰金等臨時措置法施行前の旧法による)中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前

段の併合罪であるから同法四七条本文一〇条に従い、犯情最も重い判示第二の昭和

二三年一月二四日の罪の刑に、法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役一〇月

に処し、押収に係る米の換価金三六〇〇円四五銭(東京高等検察庁昭和二三年押第

三三六六号)は本件犯行の組成物件であつて被告人以外の者に属しないから、同法

一九条一項一号に従いこれを没収する。

よつて主文のとおり判決する。

この裁判は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 長部謹吾関与

昭和二七年一二月一一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官沢田竹治郎は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

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